体力とは何か?-ケガを防ぎ、いつまでも動ける身体をつくる-③
更新日:6 時間前
第3章:ケガをしにくい身体をつくるには?
5つの体力をバランスよく高めよう

第一章では、体力を5つの要素に分けて考えました。
パワー ― 力を発揮する能力
コントロール ― 身体を上手く動かす能力
モビリティ ― 身体を動かせる範囲
リカバリー ― 疲労から回復する能力
ハードウェア ― 身体そのものの土台
第二章では、これらの能力に対して負荷が大きすぎると、痛みやケガにつながりやすくなることを説明しました。
では逆に、
ケガをしにくく、長く動ける身体をつくるにはどうすればいいのでしょうか?
答えはシンプルです。
5つの体力を、自分の現在の能力に合わせて少しずつ高めていくことです。
① パワー
力を発揮する能力を高める

筋力、筋持久力、瞬発力、心肺持久力などは、身体を動かすための基本的な能力です。
これらを高めるには、
ウォーキング
ランニング
スクワット
階段昇降
筋力トレーニング
などが有効です。
ポイントは、
今できることより少しだけ負荷を上げること。
たとえば、
10分歩けるなら15分へ。
スクワット10回が楽なら12回へ。
軽い負荷に身体が慣れてから、少しずつ強くしていきます。
いきなり大きな負荷をかけるのではなく、少しずつ能力を高めていくことが大切です。
② コントロール
身体を思い通りに動かす能力を高める

筋力があっても、それを上手く使えなければ身体への負担は大きくなります。
そこで必要なのが、
片脚立ち
バランス運動
ステップ運動
スキップ
軽いジャンプ
左右や前後への動き
などです。
特に大切なのは、
普段あまり行わない方向へ身体を動かすこと。
高齢者なら、安全な場所での片脚立ちから。
一般の方なら、ステップ運動やスキップなど、少し不安定さのある動きを取り入れることから始めてみましょう。
身体を「強くする」だけでなく、上手く使えるようにすることも体力づくりの一つです。
③ モビリティ
必要な関節を、必要な範囲だけ動かす

身体は柔らかければ柔らかいほど良いわけではありません。
大切なのは、
日常生活やスポーツに必要な範囲を、スムーズに動かせることです。
たとえば、
肩を大きく回す
股関節を動かす
足首を曲げ伸ばしする
身体をひねる
大きくしゃがむ
など。
動かしにくい部分がある場合は、その場所を無理なく繰り返し動かしていきます。
なお、①〜③はそれぞれ別々に鍛える必要はありません。
ラジオ体操のように、身体を大きく、いろいろな方向へ動かす運動は、
いろいろな部位を幅広く刺激できる、非常に効率の良い運動です。
「何から始めればいいか分からない」という方には、まずラジオ体操を毎日の習慣にするのも良い方法です。
④ リカバリー
鍛えるだけでなく、回復させる

身体は、運動中に強くなるわけではありません。
運動によって刺激を受け、
休養・睡眠・栄養によって回復する過程で身体が適応します。
そのため、
十分な睡眠
バランスの良い食事
運動後の休養
疲れている日の運動量調整
強い日と軽い日を作る
ことも、体力づくりには欠かせません。
「毎日頑張る」ことよりも、
疲労に合わせて負荷を調整できること
の方が大切です。
身体を強くしたいなら、鍛えることと休むことはセットで考えましょう。
⑤ ハードウェア
身体そのものを少しずつ強くする

筋肉、腱、靱帯、骨などは、負荷を受けることで少しずつ強くなります。
ただし、これらの組織が適応するには時間が必要です。
①パワーでは「力を発揮する能力を高める」ことが目的でしたが、
⑤ハードウェアでは、
その負荷に筋肉・腱・骨などの組織そのものを慣らしていくこと
が目的です。
そのため、
身体の適応より先に運動量を増やさないこと
が重要です。
たとえば、いきなり30分走るのではなく、
10分歩く↓20分歩く↓途中に軽いランニングを入れる↓少しずつ走る時間を増やす
と段階的に進めます。
身体は刺激がなければ強くなりません。
しかし、刺激が大きすぎれば壊れます。
少し負荷をかける → 回復する → 身体が適応する
この繰り返しが、身体そのものを強くしていきます。
第二章で紹介した「ケガをしやすい行動」を逆にすると?
第二章では、ケガや障害につながりやすい特徴として、
負荷を急に増やす
疲れていても休まない
同じ動作ばかり繰り返す
筋力や持久力以上の活動をする
身体が動きにくいまま運動する
痛みをかばいながら続ける
などを紹介しました。
では、これをそのまま逆にしてみましょう。
ケガをしにくい身体づくりの基本は、
負荷は少しずつ増やす
疲れたら負荷を下げる
いろいろな方向へ身体を動かす
筋力・持久力を少しずつ高める
必要な可動域を確保する
痛みが出たら身体の状態を確認する
ということになります。
難しいことではありません。
身体が適応できるペースで運動する。
これが最も大切です。
あなたはどの体力が不足している?
簡単にチェックしてみましょう。
① パワー
□ 階段や長時間の歩行ですぐに疲れる
② コントロール
□ 片脚立ちや方向転換でふらつく
③ モビリティ
□ しゃがむ、腕を上げる、身体をひねる動作がやりにくい
④ リカバリー
□ 運動や仕事の疲れが翌日まで強く残る
⑤ ハードウェア
□ 少し運動量を増やすだけで、筋肉・腱・関節などに痛みが出る
一つ当てはまるからといって、すぐに問題というわけではありません。
大切なのは、
「自分はどの能力が不足しているのか?」
を知ることです。
何から始めればいい?
全部を別々にトレーニングする必要はありません。
✅高齢者なら
ラジオ体操+ウォーキング+椅子からの立ち上がり+片脚立ち
このくらいから十分です。
まずは安全に、毎日少しでも身体を動かす習慣を作ることが大切です。
✅運動不足の方なら
早歩き+ヨガやピラティスなどのスタジオレッスン+軽い筋力トレーニング
などがおすすめです。
ヨガやピラティスは、身体をいろいろな方向へ動かしながら、
バランス
身体のコントロール
モビリティ
などをまとめて刺激することができます。
また、一人ではなかなか運動が続かない方にとって、
決まった時間に通うスタジオレッスン
は、運動習慣を作るきっかけにもなります。
ただし、ヨガやピラティスだけでは、心肺持久力や十分な筋力への刺激が不足することもあります。
そのため、
ウォーキングや筋力トレーニングと組み合わせる
ことで、よりバランスの良い体力づくりになります。
✅スポーツをしている方なら
競技練習に加えて、
筋力トレーニング
バランス運動
ジャンプや素早い動き
必要なモビリティトレーニング
など、競技だけでは不足しやすい能力を補うことが大切です。
特に同じ競技を長く続けている人ほど、得意な動きと苦手な動きがはっきりしてきます。
競技力を高めるためにも、ケガを予防するためにも、
競技以外の能力にも目を向けること
が重要です。
大切なのは「自分に足りないもの」を知ること
体力づくりに、全員共通の正解はありません。
持久力が不足している人。
筋力が不足している人。
身体の動きが硬い人。
バランスが苦手な人。
運動量に身体の適応が追いついていない人。
人によって不足している能力は違います。
だからこそ、
得意な運動をただ繰り返すだけではなく、自分に不足している能力を補うこと
が大切です。
痛みを改善するだけでなく、
「なぜそこに負担が集中したのか」
「これから何を鍛えれば、もっと動ける身体になるのか」
まで考える。
それが、ケガを繰り返さず、年齢を重ねても動き続けられる身体づくりにつながります。
「自分はどの体力が不足しているのか分からない」という方は、一度当院で身体の状態を確認してみませんか。
原因を知ることが、ケガをしにくい身体づくりの第一歩です。



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