体力とは何か?ーケガを防ぎ、いつまでも動ける身体をつくるー①
更新日:7 時間前
第1章:体力とは何か?
「疲れにくさ」だけではない5つの体力
「体力がありますか?」と聞かれると、
長く歩ける
息切れしにくい
疲れにくい
といった「持久力」をイメージする方が多いと思います。
しかし、人の体力はそれだけではありません。
重い物を持つ力、転ばないためのバランス、身体を思い通りに動かす能力、関節の動きやすさ、疲労から回復する力など、さまざまな能力が組み合わさって私たちは身体を動かしています。
今回は、人の体力を大きく以下の5つに分けて考えてみます。
① パワー ― 力を発揮する能力
② コントロール ― 体を上手く操る能力
③ モビリティ ― 体を動かせる範囲
④ リカバリー ― 疲労や環境から回復・適応する能力
⑤ ハードウェア ― 身体そのものの土台
① パワー:力を発揮する能力

まずは「身体を動かすための力」です。
代表的なものには、
筋力
筋パワー
スピード
筋持久力
心肺持久力
などがあります。
たとえば、
重い荷物を持つには筋力、素早く立ち上がるには筋パワー、長く歩いたり走ったりするには持久力が必要です。
一般的に「体力」と聞いて最もイメージしやすいのが、この部分でしょう。
② コントロール:身体を上手く操る能力

筋力があっても、身体をうまく使えなければ十分に力を発揮できません。
ここには、
バランス能力
身体の安定性
反応能力
協調性
敏捷性
身体の位置を感じ取る能力
などが含まれます。
たとえば、つまずいた瞬間に一歩足を出して転倒を防ぐ。
これは脚の筋力だけではありません。
身体の傾きを感じ取り、素早く反応し、バランスを取り直す能力も必要です。
スポーツだけでなく、日常生活でも非常に重要な体力です。
③ モビリティ:身体を動かせる範囲

関節や筋肉が、必要な範囲で動く能力です。
単純に「身体が柔らかければ良い」ということではありません。
大切なのは、
必要な関節が、必要な範囲だけ、きちんと動くこと。
たとえば歩くときにも、足首、膝、股関節、背骨など多くの関節が連動しています。
どこか一つが十分に動かないと、別の場所が余計に動いて補うことがあります。
その状態が続けば、痛みや負担につながることもあります。
また、モビリティと同じくらい重要なのが「安定性」です。
よく動くことと、しっかり支えられること。
この両方がそろって初めて、身体を効率よく使うことができます。
言うなれば〝スタビリティに裏打ちされたモビリティ〟です。
④ リカバリー:疲労や環境から回復する能力

体力には「動く力」だけでなく、「回復する力」もあります。
たとえば、
疲労から回復する
睡眠によって身体を修復する
暑さや寒さに適応する
ストレスに対応する
病気に対して身体を守る
といった能力です。
同じ運動や仕事をしても、翌日にほとんど疲れが残らない人もいれば、数日疲労が続く人もいます。
これも体力の違いの一つです。
運動は身体を強くしますが、運動そのものが身体を強くしているわけではありません。
運動で刺激を受け、休養や栄養によって回復することで身体は強くなります。
そのため、「鍛えること」と「休むこと」はセットで考える必要があります。
⑤ ハードウェア:身体そのものの土台

最後は、身体を構成している「ハードウェア」です。
たとえば、
筋肉
骨
腱
靱帯
軟骨
心臓
血管
血液
神経
などです。
これらは①〜④の能力を発揮するための土台になります。
筋力トレーニングをすれば筋肉や骨が適応し、走ったり歩いたりすれば心臓や血管、筋肉の持久力に関わる機能が適応していきます。
つまり身体は、普段どのように使っているかによって少しずつ変化していきます。
では、全部別々に鍛えなければいけないの?
そんなことはありません。
一つの運動でも、いくつもの能力を同時に使っています。
たとえばウォーキングなら、
持久力だけでなく、脚の筋力、バランス、関節の動き、骨への刺激などもあります。
スクワットなら、
筋力だけでなく、股関節や足首の動き、体幹の安定性、バランス能力も使います。
スポーツであれば、さらに多くの能力を同時に使います。
そのため基本的には、
一つの運動で複数の体力要素を鍛えながら、不足している部分だけを別に補う
という考え方が効率的です。
「体力がある・ない」だけでは身体は判断できない
マラソンを走れる人でも、バランスが苦手なことがあります。
筋力が強い人でも、すぐに息切れすることがあります。
身体が柔らかくても、関節を安定させる力が弱いこともあります。
つまり、
「体力がある」「体力がない」という一言だけでは、本当の身体の状態は分かりません。
大切なのは、
「自分にはどの能力が十分にあり、どこが不足しているのか」
を見ることです。
健康づくりでもスポーツでも、同じ運動だけを繰り返すより、
歩く・走る
筋力トレーニング
バランス運動
身体を大きく動かす運動
などを組み合わせることで、より総合的な体力を維持しやすくなります。
年齢を重ねても、自分の身体を思い通りに動かす。
そのためには「筋力」や「持久力」だけではなく、身体全体を幅広く使っていくことが大切です。
第1章では体力とは何かを5つの要素に分けて説明しました。
次の章では体力が不足したまま無理をすると、なぜ痛みやケガが起こりやすいのかを解説します。

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