靴の寿命
- 院長 大澤慎吾

- 9月30日
- 読了時間: 4分
靴の寿命について知っておきたいこと
日常使いのスニーカーや、ランニング・バスケットボール・バレーなどのスポーツシューズには、それぞれ「寿命」があります。見た目はきれいでも、中のクッションや支える構造は少しずつ劣化しています。今回は、靴の寿命と、その目安、古い靴を履き続けるリスク、そして寿命を延ばすための方法について詳しく解説します。

靴の寿命とは?
靴の寿命とは、履き心地やパフォーマンス、安全性が新品時と比べて大きく低下した状態を指します。寿命を判断する際には、以下の要素が重要です。
1.アウトソール(靴底)の摩耗
減りすぎや滑りやすくなることでグリップ力が低下します。
靴底の溝が浅くなったら交換や修理の目安です。
特に登山靴はソールの厚みとパターンが命なので要注意。
2.ミッドソール(クッション素材)のヘタリ
スニーカーやスポーツシューズには軽量で衝撃吸収性の高い合成樹脂(EVAフォーム)や、やや重く耐久性の高いPU(ポリウレタン)フォームが使われます。
EVAは軽く柔らかいがヘタリやすく、PUは耐久性があるが経年劣化(加水分解)しやすい特徴があります。
踏み心地が硬くなったり、反発がなくなったら寿命です。見た目に変化がなくても中の素材が潰れていることがあります。
3.アッパー(靴の上部)の破れや伸び
メッシュやレザーが伸びてフィット感がなくなれば寿命。
破れやほつれは見た目だけでなく、足を支えるサポート力も低下させます。
4.接着剤や素材の経年劣化
PU素材は特に加水分解しやすく、ソールが剥がれたり粉化することがあります。
革靴でもソール接着剤の劣化により剥がれやすくなります。
湿気や高温保管は劣化スピードを加速させるため注意が必要です。
5.年数の目安(未使用でも劣化する)
種類 素材 寿命の目安(未使用保管時)
EVA・PU系スニーカー EVA/PUフォーム 2〜3年で性能低下
レザーシューズ 本革+ゴム底 5〜10年(手入れ次第)
登山靴(PUミッドソール) PUフォーム 5〜7年で加水分解の恐れ
サンダル(スポーツ系) EVA・ゴム 2〜4年
古い靴を履くと何が起きる?
1) からだへの負担(故障リスク)
衝撃吸収の低下:ミッドソールが潰れて反発も吸収も落ち、着地衝撃が足底・脛・膝・股関節・腰に直撃 → 足底腱膜炎、シンスプリント、膝痛、腰痛の温床に。
安定性の低下:片減りやアッパーの伸びで足が靴内で泳ぎ、過剰な内外傾きが発生 → 捻挫、腸脛靭帯炎、アキレス腱障害のリスク増。
横方向の支えが弱くなる(屋内スポーツ):サイドのサポートが緩み、急停止・切り返しで足関節が流れる → バスケ・バレー・バドでの捻挫リスク上昇。
登山・トレランの“突然死”:PU系ミッドソールは加水分解で突然割れや剥離 → 下山不能に直結する危険。
2) パフォーマンス低下
推進力のロス:反発が抜け、同じペースでも心拍や主観的きつさが増える。
グリップ低下:アウトソールが滑りやすくなり、ブレーキが増えてロス。雨天や埃の多いコートで顕著。
接地時間の延長:潰れたクッションやぐらつきで接地が長くなりテンポが乱れる。
3) 感覚(プロプリオセプション)の悪化
フィードバックが不安定:硬く潰れたミッドソールや片減りで毎歩の感覚がバラバラになりフォームが崩れる。
足指が使えない:アッパーの伸びやヒールカウンターの劣化で地面を掴む力が落ちる。
“そろそろ危ない”チェックリスト
踏み心地:つま先〜母趾球を押して戻りが鈍い/底付き感がある
片減り:外側・内側の一方が極端に薄い、机に置くとガタつく
ヒールカウンター:かかとをつぶすと変形しやすく戻りが弱い
ねじり剛性:両端を持ってひねると簡単にねじれる
アウトソール:溝が浅い/面がテカテカで滑る
接着・加水分解:ソールの剥離・ひび・粉化、独特のにおい
年数:購入から2–3年超(ラン・スニーカー)、PUミッドソールの登山靴は5–7年で要注意
靴の寿命を延ばすには?
※とにかく湿気対策と連日履き続けないことが重要!
使用後の乾燥・陰干し:特に汗や雨で湿った場合は風通しの良い場所で陰干しして湿気を飛ばす。
保管場所の工夫:高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所に保管。
複数足のローテーション:同じ靴を連日使わず、休ませることでクッションの復元時間を確保。
防湿剤の使用:シューズケースや保管箱に乾燥剤を入れ、加水分解やカビを防ぐ。
定期的なアウトソール清掃:砂や泥を落とし、グリップ低下を防止。
シューツリーや新聞紙:形崩れ防止や湿気取りに有効。
まとめ
靴の寿命は距離や年数だけでなく、使用頻度や保管環境によっても変わります。特にスポーツシューズは見た目がきれいでも内部のクッションやサポートが劣化していることが多いので、定期的に状態をチェックし、上記の方法で寿命を延ばしながら安全性と快適性を保ちましょう。

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