ケガをしたときの正しい対処法
- 院長 大澤慎吾
- 5月23日
- 読了時間: 6分
ケガをしたら冷やすはもう古い?!
RICEからPEACE and LOVEへ
今回は、ケガをしたときの正しい対処法を解説します。PEACE and LOVEとありますが、愛とか平和とかの話ではありません。
スポーツや日常生活で起こるいわゆるケガ、打撲、捻挫、肉離れ。以前は「RICE」(安静・挙上・圧迫・冷却)が応急処置の基本とされていましたが、近年ではそれに代わり “PEACE and LOVE” (ピース アンド ラブ)という新しい概念が推奨されています。
これは単なる応急処置ではなく、急性期から回復期まで一貫した治癒のプロセスをカバーする考え方であり、ただ痛みを取るのではなく、ケガからいかに早く日常生活やスポーツに復帰し再発しないかを考えたアプローチになります。



ケガを早く治すために知っておきたいこと
スポーツや日常生活で起こるケガの代表といえば
▶ 捻挫
▶ 肉離れ
▶ 打撲
これらのケガは、どれも最初の対応(応急処置)がとても大切です。そしてその後の機能回復(リハビリ)を丁寧に行うかどうかで、回復スピードも、再発率も大きく変わります。
ケガの種類と特徴

✅ 捻挫
関節に強い力が加わることで、靭帯や関節包が損傷した状態。特に足首に多く、見た目は「少し腫れてるだけ」でも、靭帯にダメージがあることが多いです。放置すると関節が不安定になり、再発しやすくなります。
✅ 肉離れ
筋肉に急な力が加わり、筋繊維が部分的に断裂してしまう状態。ふくらはぎや太もも裏に多く、「ブチッ」という音や感覚を伴うこともあります。初期にストレッチやマッサージをしてしまうと、回復が遅れることがあります。
✅ 打撲
物にぶつかることで、筋肉や皮下組織が損傷した状態。内出血や腫れ、痛みが出ます。深部までダメージが及ぶと、筋肉の柔軟性が低下し、後々のパフォーマンスに影響が出ることもあります。
なぜ応急処置が必要なのか?
ケガ直後の数時間〜数日は、体の中で「炎症反応」が起こります。これは自然な治癒のプロセスであり、体が自力で修復しようとしている証拠です。
消炎鎮痛剤を使ったり、過度なアイシングをすると必要な炎症反応まで抑えてしまい、治りが悪くなるとされています。
ただしこの炎症が強く出すぎたり、長引いたりすると、
✅ 腫れがひどくなる
✅ 痛みが強くなる
✅ 回復に時間がかかるなどの悪影響が出てきます。
だからこそ、「炎症を適度にコントロールする応急処置(PEACE)」が重要なのです。
ケガの治癒過程を知ろう

ケガは自然に治る力を持っていますが、段階的な回復の流れを理解することがとても大切です。
①炎症期(受傷直後〜数日)
腫れや痛みが強く、炎症反応が出ている時期。この時期に無理なストレッチやマッサージは禁物。保護・安静・圧迫・挙上を行いましょう。
②修復期(受傷後数日〜2週間程度)
腫れが徐々に引き、損傷部位の修復が始まる時期。少しずつ動かす準備をし、痛みの出ない範囲で関節を動かす練習が必要です。
現在ではなるべく早期から患部に適度な負荷を掛けることにより、結果的にケガの治りを早め、患部を強化できると考えられます。
▶ ③リモデリング期(受傷後2週間以降)
組織が再生されてくる時期ですが、完全に元通りではありません。この時期に適切なリハビリをしないと、関節の可動域制限や筋力低下、再発が起こりやすくなります。
痛みが無くなってくる時期ですが、元の活動レベルに一気に復帰してしまうと、症状が再発したり、痛みが残ってしまうリスクがあります。段階的に元の生活に戻っていく必要があります。
ケガをしたときの正しい対処法
PEACE and LOVEとは?
PEACE(急性期の対応)
受傷後から3日程度の対応
患部保護:Protection
ケガをした直後は患部を守り、さらに悪化させないようにすることが最優先です。必要に応じて固定を行い、無理に動かさないようにします。
挙上:Elevation
患部を心臓より高い位置に保つことで、腫れや内出血を最小限に抑えることができます。
抗炎症を控える:Avoid anti-inflammatories
これは従来の考えとは異なるポイントです。市販されている消炎鎮痛薬や、過度なアイシングは、体が自然に治ろうとする「炎症」という大切なプロセスを妨げてしまう可能性があります。必要以上に冷やしたり、痛み止めに頼るのは控えましょう。
炎症は回復に必要な生体反応なのです。
圧迫:Compression
包帯やサポーターで適度に圧迫することで、内出血や腫れを抑え、患部の安定にもつながります
患者教育:Education
ケガをした方自身が「どんな経過で良くなっていくのか」を理解することも大切です。無理な運動や過度な安静、間違った対処を避け、段階的に回復を目指すことが、長い目で見たときの再発防止につながります。患者さん自身が能動的に自分のケガと向き合うためには必要です。
LOVE(亜急性期以降)
数日が経過してからの対応
負荷:Load
早期から“適切な負荷”をかけることが、組織の修復と強化につながります。もちろん、負荷のかけ方には段階が必要ですが、安静にしすぎることで回復が遅れることもあるのです。
ポジティブ思考:Optimism
病は気からという言葉があるように、「治る」と信じることも治療の一部です。ポジティブな気持ちは痛みの感受性を和らげ、回復を早めてくれることが科学的にもわかっています。
血行改善:Vascularization
軽い有酸素運動などで全身の血流を良くすることで、回復を早める効果が期待できます。じっとしているよりも、可能な範囲で体を動かすことがポイントです。
エクササイズ:Exercise
痛みが落ち着いてからは、関節や筋肉を再びうまく使えるようにリハビリを行いましょう。ストレッチ、筋力トレーニング、バランス練習などを通して、再発を防ぎ、元の動作に戻すことが重要です。
応急処置だけで終わっていませんか?
「腫れが引いたから治った」
「痛くないからもう大丈夫」
……本当にそうでしょうか?
実際には、関節が不安定なままだったり、筋肉の柔軟性や筋力が低下していたりと、見えない“機能の低下”が残っていることが多いのです。
当院では、「痛みを取る」だけでなく、「再発しない体に戻す」ことまでを施術のゴールとしています。
まとめ
ケガは初期対応(PEACE)と回復期のリハビリ(LOVE)がセット
捻挫・肉離れ・打撲、それぞれに適切な対処が必要
ケガの治癒には段階があり、それぞれの時期に合ったケアが必要
痛みが消えた=完治ではない! 機能の回復が重要
ケガのご相談はお気軽にどうぞ
むつみ接骨院では、ケガの状態に応じた適切な応急処置と、再発を防ぐためのリハビリを丁寧に行っています。
「少しひねっただけ」「軽くぶつけただけ」と思っていても、放っておくと長引く原因になることもあります。捻挫・肉離れ・打撲などのケガは、早めの対応が早期回復への近道です。
ケガをされた方は、できれば24時間以内に処置を受けたほうが良いと思います。
ケガをして放置してしまって、症状が残っている方も、完全には治らないかもしれませんが、できる限りのことは致します。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
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